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プログラムの理論背景

1.人が学ぶということ

①ピアジェの発達理論

私たちのプログラムのデザインや運営は、「知識・スキル・想像・体験」の四つの象限を念頭に置いて構成されています。
なぜなら、これら四つの象限は、相互に関連し合いながら私たちの学習に影響を与えているもので、どれか一つを他から切り離し独立して扱うことは出来ないからです。

これは、心理学者J・ピアジェ氏の発達理論における「スキーマ=物事を認識する枠組み」を通して外界を理解する、いわゆる「同化(assimilation)」とスキーマを作り替えていく「調節(accommodation)」に深く関連するものです。

Richard Little


②知識・スキル・想像・体験

【想像及び洞察】

この象限で行われることは、直感や空想によって未来を予見することで、得た知識の理解を深めたり体験で自分に起こっていることの気付きを促進したりすることです

【知識及び概念】

この象限で行われることは、実証研究や実験を基に書かれた書籍や論文など、権威づけされて信頼性のある理論、整理・分類、体系化された情報を知り理解することです

【体験及び経験】

この象限で行われることは、自発的に未知の状況に関わり、物理的な現実や他者の反応を五感で直接感じるとともに、自分と他者、環境に生じたことを俯瞰して捉えることで、現実社会で利用可能な一つの「教訓」を得ることです

【スキル及び訓練】

この象限で行われることは、知っていることを出来るようにするために手練、技量を反復しながら身につけることで「意識的に行う」段階から「無意識に行える」ようにすることです


上記4つの象限を行き来することは、ものごとを学ぶのに不可欠なことであり、
同時に最も自然なことです。
例を読む

またこれらの領域は同時に右図のように上下左右の動きをとり、
「学び」をより自身に定着・向上させていきます。

③「静と動」、「個人と社会」

「静と動」

「静と動」本で読んだことを実際にやってみるときには、「静」と「動」の相互作用が起こり、これは、右図における「縦」の動きを表しています。
想像や仮説を現実のものとして試行するのと同じような作用があります。


「個人と社会」

「個人と社会」本で読んだことを実際に試してみる前に「こうだろう」と想像する時には、「個人の学び」と「社会からの学び(周知の事実)」の相互作用が起こり、これは、右図における「横」の動きを表しています。


研修プログラムをデザインする際には、参加者の事情によってどこに重きを置くかを変えるものの、四つの象限をバランスよく配置することが求められます。

2.学びを支援するということ

①コーチ、ファシリテーター

人間は、人により好みや志向性はあるものの、基本的には四つの象限をある程度自分で使い分けながら学習しています。
しかし、自分一人で学習すると、四つの象限に好みによる偏りが出て、本来力を向けるべきところに時間やエネルギーを割かなかいなどということが生じます。

例えば、本当は練習をするのが必要な際に、重ねて知識を得ることに傾倒してしまうなどです。
このような際には、本人に問題提起をすることで、別の可能性を試させたり、もう必要ないと感じていることを続けさせたりということが必要になります。それはコーチやファシリテーターという第三者が居て初めて可能になることです。

*コーチ:問いかけをすることで本人の「気づき」や実践への意欲を喚起し学びを促進するた存在
*ファシリテーター:グループに対して行うコーチ

②伝統的なラーニングサイクル ~コルブ

体験学習においてよく行われるのは、「習慣化して定着してしまったこと」や「正当化された行為」や「プロセス」に注目することであることが多く、コルブ(David A. Kolb)の体験学習理論(ELT)で提唱されている行動と振り返り(アクションとレビュー)を繰り返す手続きはその1つの例であると言えます。
しかし、私たちは体験された後に行われる振り返りは、それが浅薄な形で行われる限りは重要ではないと考えています。
なぜなら、人は既に実践している過程であっても、状況を概観し取るべき行動とその影響を予測し、さらに結果も検証しながら実践しているものであって、いわば学びながら実践しているからです。

例えば、あるマネジャーが部下と一緒に課題解決のワークに参加したとします。
マネジャーは「部下の士気が低いな…ここはオレが自ら率先して動いた方がいいな…」というように、現在の状況、自分の取る行動とその好影響を意識してアクションを決めているのです。
このような人に体験後の振り返りで「何に気をつけましたか?」と聞いても、「率先垂範すべきだと考えて行動しました」というだけでありそれは既に既知のことであって認識を深めたり広げたりすることにはつながらないのです。

③インパクトのラーニングサイクル ~ケリー

本来問うべきは、「気をつけていたのに上手くいかなったことがあったとしたらそれはなぜか?」つまり「意図した通りに部下がついてこなかったのはなぜか」あるいは「気をつけていなかったこと」、「自らは率先垂範しない」という前提はなかったのかを問うていくことが重要なのです。
私たちの考えるラーニングサイクルはこのように、コルブが述べるところのアクティブな試行(active experimentation)のフェーズとは大きく異なり、むしろケリー(G.A.Kelly)言うところの「自分の色めがねを付け替える作業」(パーソナル・コンストラクト・セオリー)なのです。

参考:
Argyris, C; Schon, D. A. (1978) Organisational Learning, a Theory of Action Perspective
Dewey, J (1938) Experience and Education
Eliot, George (1872) Middlemarch
Kelly, G. (1955) The Psychology of Personal Constructs
Piaget, J. (1929). The Child's Conception of the World

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